フランス領インドシナ銀行　5フラン紙幣　ヌーメア発行　海外　貨幣　E1922

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こちらは、フランス領インドシナ銀行（Banque de l’Indo-Chine）が発行した「5フラン」紙幣で、ニューカレドニアの首都ヌメア（Nouméa）で流通していた希少な地方発行版です。券面には「CINQ FRANCS」の文字とともに、当時の銀行総裁と総局長の署名が記されており、右下と左上には通し番号「H.75 160」が印刷されています。中央にはローマ風の兜をかぶった女神像の横顔が赤褐色で描かれ、紙幣全体に繊細な装飾フレームがあしらわれた美しいデザインです。

表面には「PAYABLES EN ESPÈCES AU PORTEUR（持参人払）」と記載されており、フランス式の法定通貨様式を踏襲しています。裏面には警告文「ARTICLE 139 DU CODE PÉNAL…」が装飾枠の中に印刷されており、偽造に対する刑罰（強制労働）を明記することで、紙幣の信用性を高めています。両面とも赤茶色とグリーンを基調とした落ち着いた配色で、20世紀前半のフランス植民地経済下における貨幣デザインの特徴をよく表しています。

この5フラン紙幣は、ニューカレドニア、仏領ポリネシア、インドシナなどのフランス海外領で発行された中でも特に小額紙幣にあたり、日常生活で多く使われたため現存数は少なく、特にヌメア表記のものはコレクターの間で高い評価を受けています。紙質は繊維質のしっかりした感触で、折れや中央のシワ、経年による変色は見られるものの、刷りの鮮明さは良好に保たれています。

フランス植民地金融史を物語る貴重な紙幣であり、歴史資料としても、美術的観点からも高く評価される一枚です。アジア・オセアニア植民地紙幣コレクションや古銭研究の資料としておすすめです。